【車の基礎知識】ABSの意味とは?警告ランプが消えないときに確認すべきこと
ABSとは「アンチロック・ブレーキ・システム」の略で、急ブレーキ時にタイヤのロックを防ぐ機能のことです。
今回は、ABSの意味に加え、ABSの警告ランプ点灯が消えないときの正しい対処法も合わせてご紹介します。
ABS機能とは?
例えば、雪の降った翌日など、凍結している路面を運転したとき「滑りやすい路面で肝を冷やした」という経験はありませんか?このような緊急時におけるブレーキの作動をサポートしてくれるのが、ABS機能です。
急ブレーキをかけるとタイヤの回転が止まり、ロックされてしまいます。つまり、急ブレーキしたことによりタイヤロックがかかると、ハンドル操作が難しくなるのです。ABSは急ブレーキをかけたとき、タイヤがロックするのを防ぎます。断続的にブレーキ圧を調整し、ポンピングブレーキを自動的にかけているような状態にするのです。これにより、タイヤは回転し続けるため、ハンドル操作で方向転換ができ、障害物を回避する可能性を高めます。
「急ブレーキをかけたら、いつもABSが作動するってこと?」と思われるかもしれませんが、その心配は無用です。ABSを作動させるには、強くブレーキを踏み込む必要があります。そのため、日常的なシーンで簡単にABSが稼働することは、ほとんどないと考えて良いでしょう。
ABS作動中の注意点
緊急ブレーキをかけてABSが作動すると、実際にはどんな動作が起こるのでしょうか。
まず、踏み込んだブレーキペダルに強い振動を感じ、作動音が聞こえます。ここで、驚いて足を外してしまう方が多いのですが、これはABSが作動している証拠です。
怖がらずに踏み続けましょう。このとき多くの場合、スピードメーターの中の警告ランプが点灯して、ABSの作動を知らせてくれます。
もう1つ、気を付ける点があります。それはポンピングブレーキをかけない、ということです。前項で説明したように、ABSはポンピングブレーキを自動的にかけて、タイヤのロックを防ぎます。そこにドライバーがポンピングブレーキをかけてしまうと、二重にかけていることになり、うまくABSが作動しません。ABSが作動したら、力いっぱい踏み続けて、ハンドル操作に集中してください。
一般的に、ABSが搭載されている車と、搭載されていない車の制動距離を比べると、前者の方が短くなります。しかし、例外的に悪路、砂利道、深い雪道などでは、ABS搭載の車の方が長くなるといわれています。このような路面では、スピードを控え、十分な車間距離を取って走行することが大切です。
警告ランプが消えない場合はどうする?
「ブレーキを強く踏んでいないのに警告ランプが点灯している」「走行中、急に警告灯が点滅しはじめた」という事例が報告されています。前項で説明したように、雪道などの滑りやすい路面で、緊急ブレーキを踏み込んだ際に点灯するのは、異常ではありません。しかし、通常のブレーキ時や、ブレーキを踏んでいない走行中に点灯する場合は、誤作動や故障が疑われます。
この状態には注意が必要です。なぜなら、ABS警告ランプが点灯している間は、ABS機能がまったく作動しないからです。これは緊急時、強くブレーキを踏み込んでもハンドルが効かず、事故につながるリスクを高めます。肝心の緊急時に安全装置が働かない状況は避けたいところでしょう。
警告ランプが点灯・点滅する原因はさまざまなことが考えられます。車速センサーが故障している、ブレーキランプに不具合ある、あるいはABS機能そのものの異常や電気系統の異常など、さまざまな原因が考えられるため、素人が原因を特定することは困難です。
そして、ABSセンサーの交換は、ディスクプレートの内部を触る必要があり、車に詳しい方でも非常に手間のかかる作業です。素人の考えで手を出さず、必ず専門業者で修理してもらうようにしましょう。「緊急ブレーキをかけた際の、ABSの作動を知らせる点灯なのか」という点を確認して、そうではない場合は、速やかに販売店、ディーラー、整備工場などで点検を受けてください。
おわりに
今回は、ABSの意味に加え、ABSの警告ランプ点灯が消えないときの正しい対処法も合わせてご紹介しました。
ABS搭載は、義務化の方向にあり、今後、すべての車種に標準搭載されることになるでしょう。普段の運転では、あまり意識することはありませんが、ドライバーと同乗者の安全を守る大切な機能です。今一度、正しい扱い方を知り、いざというときに備えておきましょう。
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