車中泊におすすめの車はこれ! 快適に過ごすための基準や上手な選び方も
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車中泊と聞くとちょっとハードルが高めに感じるかもしれないですが、今乗っている車でも工夫すれば何とかなるかもしれません。各ジャンルの車を集めて1泊する車中泊の企画を実行したことがありますが、2シーターオープンスポーツでも抱き枕やクッションを使うことで何とか車中泊できることを確認しています。2シーターは極端な例ですが、車中泊用に適したモデルはたくさんあります。
車を買い替えたいときは、今持っている車で車中泊がどんな感じかを体感しておくこともおすすめします。自分は身長が180cmあるから、やはりベッド長は200cm近くは必要だなとか、一人で楽しむから軽自動車でも大丈夫そうだなと、愛車でまずは体験することで予想ができるようになります。その上で、今回紹介する車中泊におすすめの車などを検討してみると良いでしょう。時間や場所を限定しない自由な旅・車中泊の世界にようこそ。
車中泊で快適に過ごすための基準は? どんな車がいい?

フルフラットにできる車かどうか
快適な車中泊を楽しむためには、リヤシートを畳むか後方にリクライニングしてフラットに近くなる車を選ぶのが基本です。フラットにできると就寝用ベッドマットをシートの上やフロアに載せるだけで快適なベッドになります。多少傾斜が付いていても、頭をシートの高いほうにセットすると快眠が得られやすいです。
十分な車内スペースがあるかどうか
自分がどのような車中泊をしたいのかがはっきりしていれば、室内スペースがどれだけ必要かわかってきます。例えばキャンピングカー並みの快適な車中泊を目指すのであれば、ベッドスペースだけではなく簡易キッチンやポータブル電源、ヘアドライヤーなど収納スペースが確保できる車でなければなりません。快適に寝るだけでいいというなら、登山用シュラフ1つでいいので寝るスペースが確保できれば問題ありません。
燃費が良いかどうか
あちこち回って観光やグルメなどを楽しもうと思ったら、燃費が悪い車ではせっかく宿泊費が節約できても燃料代で相殺されてしまいます。ハイブリッドやディーゼルは燃費がよく、長距離を走ってもサイフに優しめです。軽自動車も燃費面では優秀です。
ポータブル電源があれば特殊な装備は不要!
ポータブル電源を使うことで、「車内の電化」が簡単にできるようになりました。車中泊のトレンドはこのポタ電で一変しました。それまでは車のバッテリーあがり懸念があったため車内で電気をたくさん使うのは難しかったのですが、ポタ電の登場によって炊飯器や電子レンジが車内で簡単に使えるようになりました。
車中泊できる車の選び方

快適な睡眠を確保できるかが車選びの基本です。シートアレンジでフラットなスペースを作り出せるか、シートを畳んで荷室スペースを拡大して、そこに十分なベッドスペースを確保できるかがポイントです。1ボックスや大型ミニバンはスペースが大きいため使いやすくおすすめです。車も「大は小を兼ねる」が通用します。
車中泊に向いている車種から選ぶ
やはり車中泊を快適に過ごすという視点で車を選定すると、ハイエースなどのスペース効率の高い1ボックスが向いています。次は乗り心地がいいミニバンです。純正のままでもシートアレンジによって快適なベッドスペースを確保できます。カップルで使うならSUVなどでも後席を畳んで荷室スペースをフラットに拡大できるモデルなら車中泊に向いているでしょう。
車中泊する人数から選ぶ
まず車中泊を何人で楽しむのかを考えておく必要があります。それによって車のサイズが決まってしまいます。大人2人、子ども2人のファミリーならそれなりに大きなサイズの車でなければ就寝スペースを確保できません。逆に1人で気ままに車中泊をしながら旅を楽しむというのであれば軽1ボックスで十分です。
車中泊を気軽に楽しむ【軽自動車】のおすすめはこれ!
日本の新車市場で約4割を占めるのが軽自動車。ミニバンタイプのスーパーハイトワゴンや1ボックスタイプは車中泊の人気車です。
N-BOX JOY(ホンダ)

軽四輪車の2024年度新車販売台数で、なんと10年連続の首位獲得という偉業を達成したのがN-BOXです。軽ミニバン的なモデルでありながらアウトドアシーンを意識したJOYを追加したため車中泊ユーザーの注目を集めています。
通常はリヤシートを倒しても荷室との段差がありますが、JOYは「ふらっとテラス」という段差のないシート展開を採用しています。シートはZ世代に刺さるチェック柄で、もちろん撥水加工が施されています。特別な厚手のベッドマットを使わなくても通常のベッドマットとシュラフで就寝でき、リヤゲートを開けばキャンプサイトの椅子としても使うことができます。ベッドとして使える長さが約148cmなので、1人就寝で斜めに寝て、助手席を倒して枕にしてスペースを確保する必要があります。
スペーシア ベース(スズキ)

従来、車中泊は軽1ボックスを使うことが多かったのですが、乗用ワゴンタイプを選んでも貨客両用のボディでは乗り心地や燃費がいま一歩ということが多かったのです。そこでスズキは車中泊需要を考えて乗用系モデルをバンに変更して、後方スペースを使いやすくしたモデルのスペーシア ベースを2022年から発売しています。
特徴は、「マルチボード」というパネルを使ってテーブルやフラットなベッドスペースを作り出す点です。乗用ベースだとベッド長が足りないことが多いのですが、スペーシア ベースは前席を後方に倒してマルチボードを後方に置くと、ほぼ平らになります。前席を倒しても多少の段差がありますが、ベッドマットを使ってリヤ側を頭にすれば快適に就寝可能です。カップルで使えるのもいい点ですね。乗用車用タイヤを装着しているため乗り心地がいいのですが、動力性能に余裕があるターボの設定がないことが残念です。
アトレー(ダイハツ)

軽1ボックスのアトレーは2021年のフルモデルチェンジでバンだけの設定になり、従来のワゴンはなくなりました。しかし、乗用車的な装備を充実させているため、バンというイメージはありません。
最大の特徴は1ボックスならではのベッドスペースの広さです。リヤシートを畳むと荷室とほぼ平面となり、長さは1820mmもあるため身長が高い男性でも寝ることができ、もちろんカップルで寝ることもできます。
さらにオプションのラゲッジボードを後方両側の溝に差し込むとテーブルとしても使え、小さな子どもならここに寝かせることも可能なため、軽自動車でも親子3人での車中泊が可能です。全グレードのエンジンがターボ付きで動力性能に余裕があり、無段変速のCVTを採用するため加速に段付きがなく快適なドライブが楽しめます。
ソロ車中泊でもカップルでの車中泊でも余裕で楽しめるのがアトレーです。バン(貨物)はちょっとという人もいるかもしれませんが、最初の車検は乗用が3年なのに対し2年となりますが、その後の車検は乗用と同じ2年ですし安全装備も充実しています。ナンバーは4ナンバーになりますがデメリットはありません。軽自動車で車中泊を楽しむならやはり1ボックスタイプがおすすめです。
車中泊をファミリーで楽しむ【ミニバン】のおすすめはこれ!
ミニバンのサイズになるとモデルによって家族での車中泊ができますが、快適な就寝を考えるとカップルでの使用が最適です。トヨタのハイブリッド仕様はAC1500Wの電源が確保できるので(一部オプション)家庭用のホットプレートやケトル、ドライヤーなどの電気製品を使うことができて便利です。
フリード クロスター(ホンダ)

フリードはコンパクトミニバンですが、自動車メーカーが車中泊での使い勝手を考えて誕生させたのが先代のフリードプラス。新型はプラスから名称を変更してクロスターとして設定しています。
通常は3列シートの7人乗りですが、クロスターは3列目席を取り去って5人乗りにしているのが特徴です。そのためリヤシートを畳むだけでほぼフラットになり、ホンダはこのシートアレンジを「おやすみモード」と呼んでいます。
最大の特徴はベッドの下に大きなラゲッジスペースがあることです。車中泊でベッドにすると大きな荷物の収納場所がなく、困ることがありますが、クロスターはトップクラスの低床仕様のためキャンプグッズなどを収納したままでもベッド展開ができるのが美点です。ハイブリッド仕様も設定されているため燃費性能がよく、静かな走行が可能です。
セレナ マルチベッド(日産/オーテック)

ミドルクラスのミニバンでファミリーでの車中泊を楽しめるのが、セレナのマルチベッド。3列目席を取り去ってベッド展開を重視したミニバンです。5人乗りモデルがメインですが、ハイブリッドのe-POWERの4WDであるe-4ORCEは4人乗りになるため注意が必要です。
前側にベッドフレームを装着して3分割のボードを乗せると完全フルフラットのベッドになります。ベッドの長さは2120mmもあるため大柄な男性でも足を伸ばして寝ることができます。ベッド幅も1320mmあり、子どもと川の字になって寝ることができます。ベッド下が大きな荷室になるためキャンプグッズの収納も楽です。ちょっとしたキャンピング仕様ですが、もちろん日産のディーラーで購入することができます。
キャラバン MYROOM(日産/オーテック)

室内を見ればわかりますが、キャラバン MYROOMはほぼキャンピングカーという内容で、車中泊が快適に楽しめます。しかしキャンピングカーと違って自動車メーカーがリリースするモデルであり、もちろん日産ディーラーで購入できます。
セカンドシートは完全フラットにできるのが特徴で、表面と裏面で硬さの異なるクッションパッド構造を採用しています。ベッドはもちろん、後方に向けてセットすればソファになる優れものです。ベッドは2タイプがあり、標準は4枚のボードを敷くタイプですが、架装オプションで跳ね上げベッドが設定されています。跳ね上げタイプは、1枚のボードが横に固定されており、ベッド展開時は下ろすだけでベッドメイクが完了するためとても楽です。
ベッド長は最大2228mmもありますから余裕で寝ることができます。もちろんベッド下が大きな収納になっているため就寝時にも荷物の置き場に困りません。
車中泊が快適にできる車はもちろんキャンピングカーです。本格キャンピングカーは高額なことが多いですが、キャラバン MYROOMのようなモデルは本格キャンピングカーに匹敵する就寝性能を持っています。ディーラーでメンテナンスできるというのもいい点です。
車中泊を快適に楽しむ【SUV】のおすすめはこれ!
車中泊はキャンプ場や道の駅に併設されたRV泊などが一般的ですが、山の中や河原、海岸近くなど不整地を走行するのは軽自動車やミニバンは苦手です。しかし、SUVの4WDなら石がゴロゴロある河原や坂なども走破できます。ただしベッドスペースはミニバン系より狭いことが多く、シートアレンジをしてもフルフラットになりにくいモデルがあります。
ランドクルーザー300(トヨタ)

ランドクルーザー300は2021年に発表されたモデルですが、現在も人気が高く新車注文ができない状態となっています。中古車市場での流通も人気車のため少ないですが、SUVのなかで車中泊に適している点はどこでも行ける走破性の高さです。山の中など普通のクルマで入って行けないような大自然のなかで車中泊を楽しむというのは、通常のキャンプサイトとはひと味違います。風が強い日には森の唸りが聞こえ、静かな朝は小鳥のさえずりで目を覚まします。
高級SUVのため3列目シートは電動で収納・復帰できます。2列目席を倒せば1865mmの長さを確保できるため身長の高い方でもゆったりと寝ることができます。ただし、畳んだ2列目席と荷室フロアとは大きな段差があるため、ここをうまく埋める工夫が必要で、毛布やマットなどで段差を解消すれば快適な睡眠がとれます。国産車には珍しくトレーラーなどをけん引するヒッチメンバーがオプションで設定されています。
ZR-V(ホンダ)

あまり目立つ存在ではないのですが、ミドルクラスSUVのなかでは車中泊に適したモデルです。というのはリヤシートを倒すだけで長さ1590mmのベッド長が確保でき、なおかつリヤシートと荷室の段差がほとんどなく、前方がやや高くなっているため枕なしでもベッドマットさえあればかなり快適に就寝できます。
ベッド長がやや短いですが小柄なカップルなら大丈夫ですし、ソロ車中泊ならちょっと斜めに寝れば大柄な人でも問題ありません。床下アンダーボックスもあるため小物を収納しておけます。ハイブリッドは燃費がよく静かで快適にドライブが楽しめます。
フォレスター(スバル)

国内市場に登場したばかりの新型フォレスターも車中泊に適していて、リヤシートを倒しただけでベッド長(後端から前席後ろまで)1796mmが確保できます。コンパクトモデルからミドルサイズ級のスタイリングになり室内にも余裕が生まれているのが特徴です。
さらにトヨタから技術供与を受けた遊星ギヤを使ったハイブリッドシステムによって燃費が改善されたため、ランニングコストが抑えられます。またハイブリッドはオプションでアクセサリーコンセントを(AC100V/1500W)が装備でき、車中泊で電子レンジやヘアドライヤーなどを使えます。さらに災害時には電源車としても使えるため、車中泊だけでなく万が一の時にも役立ちます。
車中泊を快適にするためのおすすめグッズはこれ!
車中泊の快適度をアップするにはグッズを用意することが肝心です。車中泊グッズは数多くあり、ネットでも手軽に手に入るものもあります。街なかの100均でもちょっと工夫をすれば使えるものが見つけられます。
ベッドマット
車中泊専用タイプからキャンプ用までいろいろなタイプがあり、空気を吸い込む(入れる)マットは段差を解消するのに最適です。
LEDランタン
密閉空間で燃焼タイプのランタンを使うのは一酸化炭素中毒の危険があるため厳禁です。LEDタイプなら安心といえるでしょう。
ポータブル電源
最近の車中泊トレンドがポタ電。大容量タイプなら電子レンジやヘアドライヤーなどが使えます。
遮光カーテン
ゆっくり眠りたいなら遮光タイプがおすすめです。車種専用タイプなどから汎用タイプまであります。
簡易トイレ
災害用のコンパクトなものからキャンピングカー用のタイプなどがあります。普段は道の駅のトイレなどを使っていても渋滞時に子どもが……というときにあると安心です。
シュラフ
本格的な寝具セットを車内に持ち込む人もいますが、封筒型のオールシーズンタイプが1つあるとひざ掛けとしても使え便利です。
車中泊におすすめの車をチェック! 快適な車中泊を楽しもう!
車中泊を何人で行うのがどこに行きたいのかで車のタイプは決まります。ソロ車中泊なら軽自動車で十分ですし、家族ならある程度ボディが大きいモデルが必要です。SUVタイプなら山の中での車中泊も可能です。
紹介したなかには現在新車注文を受け付けていないモデルもありますが、中古車から選ぶという方法もあります。今回は新車を紹介しましたが、中古車は型式や年式が違うとシートアレンジや機構が違うことがあるため、購入前によく確認しましょう。
企画監修・執筆

モータージャーナリスト
丸山 誠
キャンピングトレーラーを所有していたこともあり、キャンピングカーや車中泊に詳しく、キャンプ歴は30年になる。新車の試乗記事や新車解説記事などを執筆。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
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