軽自動車のサイズは? 規格上の長さや車種ごとの違いについて
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今や生活には欠かせない軽自動車ですが、普通乗用車との違いを正しく理解している人は少ないかもしれません。黄色いナンバーの経済的なクルマ……というのが一般的なイメージだと思いますが、実は軽自動車にはさまざまな規格が設けられており、その制約のなかで進化を遂げながら現在に至っているのです。サイズもその中のひとつ。ここでは軽自動車の規格の歴史を振り返りながら、軽自動車のサイズに関する疑問を解消していき、軽自動車の中でも特にサイズが大きい車も最後に紹介したいと思います。
軽自動車の規格上のサイズ(長さ、幅、高さ)は?

現在の軽自動車の規格上のサイズは、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下です。軽自動車が誕生したのは昭和24年(1949年)のこと。当時は軽自動車として2輪、3輪、4輪の区別はなく全長2.8m以下、全幅1.0m以下と定められていました。しかし、軽自動車の規格は時代のニーズと共に拡大し、サイズも改正されています。これは衝突安全基準の強化によるクラッシャブルゾーンの確保が目的ですが、ボディサイズの拡大は快適性の向上にも貢献しています。
昔と比べてどう変わった? 軽自動車の規格の歴史
軽自動車は戦後復興の鍵を握る重要な役割を果たし、その国民車的なスタンスは現在も受け継がれています。道路運送車両法で定められた規格は安全性の確保を目的に、時代の流れを映し出すようにボディサイズや排気量の拡大を続けてきました。まずはその変遷を振り返ってみましょう。
軽自動車の規格が誕生(1949年)
【1949年制定時】長さ:2.8m、幅:1.0m、高さ:2.0m、排気量:150cc(4サイクル)または100cc(2サイクル)
1949年に初めて軽自動車の規格が制定されたのですが、当初は2輪、3輪、4輪の区別がありませんでした。翌1950年の7月から新たな軽自動車の規格として「2輪」と「3輪/4輪」が区分され、4輪の軽自動車として歴史が始まったのです。
4輪軽自動車の開発が本格的に開始(1954年)
【1954年制定時】長さ:3.0m、幅:1.3m、高さ:2.0m、排気量:360cc
※サイズは1950年制定時と同じ
1950年に4輪のサイズは全長が3.0m、全幅が1.3mに拡大。1951年には排気量が350ccとなり、1954年の法改正(1955年施行)では、最大360ccにまで引き上げられました。当時はまだ「軽自動車=2輪車」が当たり前の時代でしたが、この法改正により軽自動車を生産する自由度は大きく向上し、昭和33年に登場したスバル360の大ヒットにより新たなる時代へと突入して行きます。
排気量やサイズが拡大(1976年)
【1976年制定時】長さ:3.2m、幅:1.4m、高さ:2.0m、排気量:550cc
1976年の規格改定により全長が200mm、全幅が100mm拡大したことで、デザインの自由度、居住空間の快適性が大幅に向上。排気量も既存の360ccから550ccへと拡大したことで、軽自動車はより実用的な存在へと進化を遂げています。自動車メーカーも需要の拡大を予想し、次々と意欲的なモデルを市場へと投入。軽自動車は人々の生活を支える重要な生活必需品として認知されるようになりました。
現在の規格(1998年~現在)
【現在】長さ:3.4m、幅:1.48m、高さ:2.0m、排気量:660cc
1998年の規格改定で全長3.3m、全幅1.48mへと規格が拡大され、現在へと至ります。現在、軽自動車は新車販売台数の3割を占めるまでに成長し、日本における自動車産業の主軸へと成長しました。快適性、機能性、そして安全性を兼ね備えた軽自動車は多様な進化を遂げ、ハイトワゴン、セダン、SUV、オープンスポーツ、商用バン、軽トラックなどさまざまなモデルが用意されています。
同じ軽自動車でも車種によってサイズは違う?
軽自動車にはハイトワゴン、セダン、SUV、オープンスポーツなど多種多様なモデルが存在し、そのモデルによってサイズが異なることもありますが、基本的には軽自動車の規格で定められたボディサイズの枠をフルに使用しているのが一般的です。
長さと幅は、どの軽自動車もほぼすべて同じ!
ボディサイズに制限のある軽自動車では、道路運送車両法施行規則で定められたサイズを活かすことで安全性と共に室内の居住空間を最大限に確保するのが一般的です。スポーツカーのように車高を低く設計する場合を除き、軽自動車の多くは全長と全幅がほぼ同じサイズになっています。また、居住性を追求したスーパーハイトワゴンは全長3.4×全幅1.48×全高2.0mの最大値に近づけることが命題とされ、どのメーカーも規定値ギリギリの設計を行っているのです。
高さは車種ごとに異なって個性がある
軽自動車全般を見ると、全長と全幅に関しては大きな差はありませんが、全高を見てみると車種によって大きな差があるようです。前項でも触れましたが、コーナリング時の運動性能を求めるスポーツカーでは車高を低く、逆に積載能力や居住空間の大きさが求められるハイトワゴンでは高く設計されるのが一般的。その中間がマルチユースなセダンモデルだと言えるでしょう。
軽自動車のタイプごとの特徴
軽自動車にはハイトワゴンや商用バン、セダン、SUV、軽トラックなどさまざまなタイプが用意され、ユーザーのライフスタイルに合わせて選ぶことができます。最近では軽ミニバンをキャンピングカーとしてモディファイする人や、軽トラックをアウトドア遊びの相棒として選ぶ人も増えているようです。
| タイプ | サイズの特徴と代表的な車 |
| スーパーハイトワゴン | 全高2.0mの規定値に迫る背の高いワゴンモデル。一般的には全高が1700㎜を越え、スライドドアを持つことが条件。タント(ダイハツ)、N-BOX(ホンダ)スペーシア(スズキ)等。 |
| ハイトワゴン | 実用性、居住性を重視したモデルであり、スーパーハイトワゴンの条件である1700㎜を越えないトールワゴン。ワゴンR(スズキ)、N-WGN(ホンダ)、デイズ(日産)等。 |
| セダン | セダンと呼ばれるが独立したトランクは持たず、ベーシックな2ボックスモデルを指す。車高が低く扱い易いのが特徴。アルト(スズキ)、ミライース(ダイハツ)、N-ONE(ホンダ)等。 |
| SUV | アウトドアテイストが漂うSUV。趣味性が強く個性的なデザンが与えられている。ジムニー(スズキ)、ハスラー(スズキ)、タフト(ダイハツ)、ekクロス(三菱)等。 |
軽自動車は規格で定められたボディサイズのなかで独自の進化を遂げ、今ではセダン、ハイトワゴン、SUV、スポーツカーなど多様なモデルがリリースされています。自分のライフスタイルに合わせながらも、低コストでクルマを維持できるのが軽自動車の魅力と言えるでしょう。
軽自動車でも特にサイズが大きい(高さがある)車
全長3.4×全幅1.48m×全高2.0mという定められたボディサイズを最大限に活かし、軽自動車でありながらも十分な居住性を確保しているのがスーパーハイトワゴン。最近では販売台数の大半を占めるようになり、軽自動車の人気カテゴリーになっています。
N-BOX(ホンダ)

今、最も売れている軽自動車がホンダのN-BOXです。ライバルであるダイハツ・タントやスズキ・スペーシアを上回る新車販売台数を記録し、2015年から2024年まで10年連続売上ナンバー1の座を守り続けているのです。同モデルは2025年4月に一部改良を施し、更なる完成度の向上を図っています。
N-BOXは室内長が2240㎜、室内幅が1350㎜、室内高は1400㎜となり、居住空間の快適さはトップクラス。また、同モデルは安全性の高さも大きな魅力であり、ホンダの予防安全技術である「Honda SENSING」を全ての最新モデルに搭載しています。
スペーシア(スズキ)

2023年にフルモデルチェンジが行われ、さらなる進化を遂げたスズキ・スペーシア。スズキでは全ての世代に愛されるデザインを採用したということもあり、主張し過ぎない柔らかなフォルムが大きな特徴になっています。室内長が2170㎜、室内幅が1345㎜、室内高が1415㎜となり、室内高はライバルが多い軽ハイトワゴンのなかでもトップクラスを誇っています。
また、スペーシアの特徴は居住空間の優秀さだけではありません。運転席と助手席用のシートヒーターやマルチユースフラップとして利用できるオットマンなど、高級車並みの贅沢装備が数多く用意されています。
タント(ダイハツ)

初代モデルの登場から約20年。今や軽自動車の代名詞へと成長したダイハツ・タントですが、その人気の秘密は居住性の高さにあるようです。室内長が2125㎜、室内幅が1350㎜、室内高は1370㎜となり、小さな子供であれば立ったまま着替えをすることが可能。
タントの特徴はセンターピラーを持たない開口部の大きな「ミラクルオープンドア」。乗降のし易さと、荷物を積載する時の実用性が大きな魅力と言えるでしょう。また、スライドドアは子供の乗降にも最適で、ドアを開けて隣のクルマにぶつけてしまうこともありません。狭い駐車場でも最小限のスペースで乗り降りできるのは大きなメリットになるはずです。小さな子供を持つ子育て世代におすすめの一台と言えるでしょう。
軽自動車のサイズを知って、快適な車を見つけよう!
道路運送車両法施行規則によって定められた全長3.4×全幅1.48×全高2.0mのボディサイズの中で進化を続ける軽自動車。最近では居住性に優れたハイトワゴンやスーパーハイトワゴンが人気となり、購入後のリセールバリューも期待ができます。また、人気カテゴリーだけに中古車市場でも車両数が多いのも大きな魅力であり、さまざまなモデルがあるのもハイトワゴン、スーパーハイトワゴンの特徴です。新車だけでなく、中古車市場で好みのモデルを探すのも賢い方法といえるでしょう。
ボディサイズや排気量に制限がある軽自動車ですが、普通乗用車と比較すると自動車税や自動車保険、車検費用が優遇されているため、コストパフォーマンスにも優れています。最近ではエンジン性能やトランスミッションの性能が向上し、ドライブに関しても大きな不満を感じることもありません。また、スーパーハイトワゴンだけでなく、SUVモデルのラインナップも充実しているので車中泊やキャンプ、アウトドアなど“趣味の相棒”として最適な一台が見つかるはずです。
企画監修・執筆

フリーライター/自動車ジャーナリスト
並木政孝
輸入車専門誌、アメ車専門誌の編集長を経て女性ブランド誌、腕時計、眼鏡など数多くの雑誌をプロデュース。その後フリーライターとして独立し、クルマ、アウトドア、建築、スポーツなど多方面で活躍する。
私生活ではクルマ、バイク、自転車、キャンプ、ルアーフィッシング、カヌー、スキューバダイビングなど楽しむ多趣味人としても知られている。
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